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2009年7月13日

入口商品とフェアで繁盛

小売店間の競争が激しくなったり、低価格化で利益が出しにくくなったりして、店舗をたたんだり、またそこに新しい花屋さんが入ったりということがある。新しく入った花屋さんは低価格志向にも応える商品作りが出来る花屋さんが繁盛している。何も全部を低価格にしてしまったら、結局利益が出なくなるし、価値ある商品を作れない。だから全部が安いわけでなく、目玉商品を作ったり、産地フェアをしたりして、取り組むことが必要だ。言うなれば、「入口商品を作る」ことと「イベントをする」こと、この2つがお客さんに来てもらい、楽しい花売場となって売上を作れるのだ。入口商品には、ワンコインで手軽に楽しめる花があるし、時として105円でも売り出すこともある。どのような入口商品を考えるのか、産地イベントを打つか、これからの小売店の腕の見せ所だ。

今年の7月お盆は今日が「迎え火」、土・日が絡んだので、どの小売店もお盆の花はよく売れていた。そこで気になったのが、弱気になったのか必要以上に低価格で販売している店が、私の見る限り少なからずあったことだ。そこの店の周りを見ると、確かにスーパーマーケットや100円生鮮コンビニで低価格の花があるが、明らかに品物は違う。だから価値を知っている専門店はきちんとした値付けをしてもらいたかった。私が心配するのは、生産者は油代を除いて経費は高止まりしたままだ。だから価値を知ってくれている専門店が価格に走ると、当然安く仕入れるだろうから、それでは生産者は赤字になってしまうのだ。日本の生産者が手を掛けて世界に誇れる良品を作ることが出来るのは、その価値を認めてくれる消費者がいるおかげだ。その消費者はほとんど専門店で買っているし、また専門店がその価値を教えてくれているから日本の生産者は成り立つ。だからこのお盆のときでも、時代が時代だから入口商品をアイディアで作ることは必要だが、全部の価格を下げてしまうのでは、結局生産者が「合わないからやめた」というようになってしまいかねない。小売店間の競争もあろうが、もう一度業態別役割を認識してもらいたい。専門店や百貨店は花との価値ある生活を届ける小売店。スーパーマーケットはセーブマネーを届ける。ホームセンターは楽しいインテリアフラワーからランドスケープまで花のある生活空間を届ける。コンビニエンスストアは利便性を届ける。ドラッグストアは健康を届ける。確かに業態間の乗り入れがあり、境目が見えなくなっている。しかし強みは何か、あるいは社会の役目は何かということを花屋さんに自覚してほしいと強く感じたお盆の小売戦線であった。

投稿者 磯村信夫 : 2009年7月13日 00:00

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