大田花き 大田花きコーポレートサイトへ
 

« 2009年 3大ニュースのその1 | トップ | 2009年 3大ニュースのその3 »

2009年12月14日

2009年 3大ニュースのその2

その産業の魅力度とは期待成長率が高く、その業界の企業の資金繰りも健全で(財務の安定性)、平均マージン率も高く、市場規模も広がる可能性があって、顧客もさらに増えてくることが一つの尺度となっている。こう考えるとなにやら今の花き産業は魅力がないように思えてくる。だが、私は今年の10月10日、全国の仲卸団体である社団法人全国花卸協会が社団法人化パーティーで発表した「花は人を幸せにできる」を信じており、花市場として実行する決意でいる。これらは現実を見据えてのことで、悲観してのことではない。こういう言葉がある。「失敗したいのなら将来を恐れると良い。成功したいのであれば将来を楽観し、熱意を持って向かうべきだ」今年1年、プロゴルファーの石川遼から学んだことはこれだ。

1、花の法人需要減
法人需要の減退で花き市場の取扱金額は1割減。世界同時不況でさらに日本国内の国際化は進んだ。国際化は先進国では格差を生み、発展途上国では富の向上を生み出す。また技術革新は先進国で格差を生み出し、発展途上国でも格差を生み出す。だからコペンハーゲンのコップ会議で、途上国から先進国が持っている環境保全技術を無料で開放せよといっているわけだ。そうはさせじと先週国際展示場で行われた「エコプロダクツ展」で日本企業は環境技術を武器に勝者になろうとしている。さて、国際化と技術革新はこのような結果を生み出すが、世界はワンワールド。物価と賃金が世界同一になっていこうとしている現代。マッキントッシュやユニクロのように、先進国の会社が独自のノウハウを持ち、それを明かさず、NIEsやBRICsとwin-winの関係を作る。言葉は悪いが新植民地主義でビジネスする会社が伸びている。
日本の何でも自社だけでやる自前主義では競争に勝てないということだ。

2、イノベーション=開発×普及
日本の自前主義では普及に難があり、携帯電話に代表されるように、せっかく日本がトップを切り、世界最高のものを作りながら結局世界に認められないということになる。NOKIAと比べてみれば、日本の戦略が普及という点においてどれだけ劣っていたかが分かる。自前主義の日本企業が国際競争で負けて、日本はGDPベースで、需給ギャップが35兆円から40兆円もある。内需拡大と国際競争力強化は企業の努力だけではおぼつかない。羽田空港のハブ化のように、国家戦略が必要である。
日本の強さは何か。それは「丁寧なものづくり」と「誠実な商売」である。研究開発だってお手の物だ。

 3、今年のフラワーオブザイヤー
財団法人花普及センターで2009年フラワーオブザイヤーが発表された。受賞した赤いバラの『サムライ08』は、京成バラ園が種苗を取り扱っているフランスのメイヤン社の作出品種だ。メイヤン社はEUの会社でイノベーション=開発×普及で行うから、『サムライ08』は日本だけでなくコロンビアからすでに輸出されている。もう一つのフラワーオブザイヤーは弊社のもので恐縮だが、フラワーオブザイヤーOTA最優秀賞に選ばれたのは緑風舎・高木ナーセリー作出の小さい胡蝶蘭『なごり雪』だ。どう普及させるかだが、日本で完成品を作るが苗は台湾とのリレー栽培だ。早く多くの生産者に作ってもらいたい。そして優秀賞に兵庫六甲農協淡河支店のテッポウユリ「プリンセスオーゴ」。そして特別賞に越後中央農協のチューリップ『ゲープランドキフト』だ。日本だけのローカルな花とは言わせない。ファッション同様、日本一の目利きが選んで、世界の産業人が納得する2009年の日本の花だ。

 4、内なる国際化で2年で金額2割減の花き業界
国際競争に勝てなかった日本の企業群は3Kをケチる。広告宣伝費、交通費、交際費だ。企業の交際費に支えられている花の支出は大変大きい。企業は工場を海外に移転する。国内の雇用は減り、地価は下がり、地方の経済力は弱くなる。設備投資も社員のボーナスも少なくなって、非正規雇用の人たちの所得から減り始める。こうして今度の不況ですっかりあらわになったのが日本の中産階級が崩壊した姿だ。かつて実質60%、心情的には80%中産階級であった日本国民は、今30%になった。こうしてホームユースでも、物日は単価が下がれば今までと変わらず消費されるが、普段は効かなくなってきて、それがデフレ圧力になっている。こうして法人需要減と単価安で2年で2割の売上が吹っ飛んだわけだ。この日本も必ず復活する。復活した花き業界はもっと暮らしに欠かせないものにしていくのだ。その一端としてまずターゲットにしたい顧客は次の人たちだ。

 5、アラ還とアラフォー
身も蓋もないわけではない。花は多くても邪魔ではないし、枯れてなくなるものでもある。だから狙いは?親元から通勤している人、親の近くに住んでいる家族。懐と心と時間に比較的余裕がある。?アラ還。花嫁修業の一つとして生け花を習った人たちで日本文化の良い継承者たち。なんといっても元気で、これから自分のためにも日本のためにももう人肌脱ぎたいと思っている人たちだ。?アラフォー。子育て真っ最中だが子どもと一緒に世界で生き抜いていくことを考え始めた世代。
人数が多く、親のすぐそばにいるし、地域に密着して住んでいる。まずはこのグローカルな人たちから再度お客さんとしてコミュニケーションを図ろうではないか。店も商品も花き産業繁栄のための仕組みをこのお客さんを軸に組み立てる。機能や技はグローバルに、センスやメッセージはローカルに、小売/仲卸/卸/生産者/種苗は自分の役目を再定義してビジネスを再構築しようではないか。これが2009年/2010年の花の商売の正解である。

投稿者 磯村信夫 : 2009年12月14日 00:00

Copyright(C) Ota Floriculture Auction Co.,Ltd.