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2012年4月16日

電力不足と油高

大飯原発稼動の問題から、電力不足と電力値上げに関して経営がおぼつかなくなる企業の記事が新聞各紙で取り上げられている。僕は大田区大森に住んでいるから町工場の人達の苦労をリーマンショック後、円高も合併せ嫌というほど見てきた。
そしてバラ切花協会の会員生産者の方々が夜間の割安電気を使用し、ヒートポンプを使って夏でもケニア・コロンビア・エクアドルに負けない品質のバラを作ろうとする意欲と技術に拍手を送ってきたが、このたびの値上げは夜間電力も昼間と同様の値段になるという。
夏場のバラも国産は素晴らしいが、夜間電力の値上げと共にストップしてしまうのを危惧している。
海外からは3.11後、日本国あげての節電の取組みを高く評価するとお褒めの言葉をいただいたが、原発停止後の電力不足を考えると、どのような形で激変緩和措置が行われ、又、将来は原発に頼らないでいけるかは日本のチャレンジで、そのことで日本は技術立国になってゆくことだろう。現在は激変緩和措置として安全性を確保した上、原発の早期一定稼動は必要だと、大田市場のまわりには冷蔵庫やら保冷物流施設がいくつもあってそこの間を歩いてくるたびにそう思う。
卸売市場も同様で今までは5年ごとの見直しであったが、この4月から毎年農林水産省は一定基準未満の中央卸売市場をチェックし、地方卸売市場にするとした。
地方市場になった公設地方市場は市や県が開設することになるが、市や県の経費は減るどころでなく、電力の値上げに対応しなければならないし、電力確保の為、電源の二層化などが必要となっている。

今、花や青果物の輸送は、ほとんどがトラック便となっている。かつてはジャンボジェットが飛んでいたから空港貨物で量を運べたし、運賃も安かった。それがエアラインの大競争時代になって飛行機は小さくなるし、さらにここに来てLCC(ローコストキャリア)が日本でも人気になってくるなど油代が高くなっているので、飛行機はさらに人専用のように小さくなってきている。こうなると荷を運ぶのは時間がかかっても定温管理が出来るトラック便となる。産地で余冷し、沖縄や北海道などは船を使うか、最寄の港からはトラック輸送、九州からはほとんど今トラック便になっている。そうなると市場では、定温管理が出来る定温庫や荷捌き場、場合によってはセリ室が必要で鮮度を保つには、市場での温度管理は欠かせない。
市場では閉鎖型とまではいかないが、定温管理をする売り場を持つことになる。また、持たないと生産者に出荷してもらえないので電力不足・電力代の値上げは経営を直撃する。余談だが、4月の上中旬になっても一輪菊の相場が堅調なのは、12月の「返し」の荷が出てこないからである。それは今年の冬が特別寒かったこともあるが、毎年4月になると陽気が良くなってお葬式も少なくなり、従って菊の需要は少なくなって4月の菊の相場は油代が出ないことがあった。だから、油が高いので暖房をしていない生産者が多く出荷量が少ない。産地にとっても、卸売市場にとっても、電気代の値上げと油代の高騰は経営を圧迫する。今後とも続くと思われるので、産地においては省エネ栽培方式や省エネ品種の作付け、卸売市場においてはスピーディーな仕分け作業と荷主相乗りによる効率的なトラック輸送を編み出してコストを更に下げなければならない。卸売市場全体では実質日本の中核市場となっている地方公設市場の前例にとらわれないマネジメントが期待されるのである。

投稿者 磯村信夫 : 2012年4月16日 16:31

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