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2012年5月 7日

小さなお店の時代

GWの後半は天候に恵まれず、関東地方では災害に遭われた方もいて、花の小売店も思った通りに売れず残念であった。しかしその中でも「レールサイド」の花店やホームセンターでは雨をそこそこ防げたので例年よりも良かった店、例年並みの店が多く健闘したと言えるだろう。

昨日の日曜日、都内では午後ちょっと雨が降っただけだったので、個店と云われる独立小売店舗の花屋さんを見に行った。私自身が感じているのは、大店舗やチェーン展開している専門店から、時代は小さな独立店舗に向かっていると感じるのだ。ラーメン屋さんがそうである通り、小さければ小さい程、個性あるラーメン屋さんは人気だし、近所に酒ディスカウント店もあるが、良い日本酒を取り揃えていたり、ワインでもまだあまり知られていないスペインワインを中心に扱っている小さなワイン屋さんは繁盛していて、地元の小さな店の方が魅力的に映るのだ。大森という街はだいたいそうで飲食店でも地元の人がやっていたり、或いはよそから来た人も独立店舗でこだわって、しかもコミュニケーションをカウンターごしで御主人とはかれたり、仲居さんと馴染になって好きなビールの銘柄がスッと出てくる店が人気で、チェーン店は予算がある若い人しかいっていないように思う。

我々は消費者として価値を買うので、花を買う時にも花という素材を買うのではない。我が家の場合、朝顔を洗う時その日花を見て花が微笑んで挨拶してくれるので、その微笑を僕は花屋さんに買いに行く。妻は週に一回玄関の花を買っている。それは外から家に帰った時に、或いはお客様が来た時に玄関で最初に目にする花が自分や家族のモットーや雰囲気をかもし出す。そういう花や枝物を買って活けている。僕は消費者として、価値=質÷価格だと思う。だから季節の花やおまかせの花で気に入ったブーケを買っている。

昨日ウォーキングをしながら、10件以上の独立店舗を見たが、改めて花店の個性の出し方の難しさを感じた。ラーメン屋さんや酒屋さんに比べてその店が何をこだわっているのかが、パッと見てわかりにくい。もちろんセレクトショップが正解なのだが、花のようにこれだけ素晴らしい素材が多くあると、"こだわり"を伝えづらい。何かデザインに優れているだとかバラにこだわっている店だとか伝統的仏花や新しい仏花など仏様の花にこだわっている花屋さん等、それぞれ店構えと店員さんのコスチュームで少しは外から見て推測出来るのだが、美容室と同じくらい何にこだわっているのかわかりにくいような気がした。店構えや雰囲気、照明やレイアウトの仕方などそれぞれ自分が目指す、花のプロとしてのこだわり。花のどの分野で東京一を目指して頑張っている店が地元にあると知ってもらうのか、僕は楽観的だ。地元の人は絶対気になっている。価値=質÷価格で小さな店はスケールメリットが出せないから価格を下げてはならない。下げる代わりにおまけをつけるのが常套手段だ。昨日廻ったお花屋さんたちは今後とも頑張っていける店だと思う。後は街の花屋さんは、花を料理する小料理屋さんだ。どんな料理で街のお客さんを惹きつけるのか。そこから、現状からもう一歩進んで今の店にない何か一点でいいから一年中こだわったモノやサービスを売り物にする店を作ってもらいたい。そうでないと、魅力的なレールサイド専門店チェーンと量販店にある花売場に負けてしまうと、昨日感じた。時代は小さなお店の時代、もっと魅力が出せるのに、このままではもったいないのである。

投稿者 磯村信夫 : 2012年5月 7日 16:32

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