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2013年2月11日

BCP(ビジネス・コンティニュイティ・プラン)(事業継続計画)

 生鮮食料品花きの中で、2005年を100とすると数量・金額共に最も落ち込んでいるのは、魚である。毎年築地の初市にマグロの相場が発表されて景気が良いように感じていらっしゃる方も多いと思うが、魚の消費は減少している。

 もう40年も行き付けの近所のお寿司屋さんがなくなって色々と新しいお店を開拓しているのだが、徒歩で行ける範囲では良いお店が見つからない。ネタはもちろんのこと、山葵の利かせ方やシャリの温かさなど、好みに合ったものを握ってもらえないとなるとやはり行き付けのお店を見つけなくてはと思う。消費者としてもオーバーに言うと、食べる楽しみがひとつなくなってしまってがっかりしているところだ。
 これがビジネスとなると、いつまでも今まで通りに花を出荷してくれたり購入してくれるか分からない。いつまでもお取引先が元気でやってくれるとは限らない。そういう時代になっているということだ。

 卸売市場の大田花きからすると、今までは買参人が期日通りにお金を払ってくれるかどうかチェックをし、与信管理をしていれば良かった。確かにこれらは大切なことだが、もうそれで良いという時代は終わった。
 出荷者においても補助金で立てた温室の返済が終了し、それを機に温室を売り出している生産者がいる。今まで花の生産面積を拡大してきたが、今度は縮小し、ここ3年で生産面積が半分になってしまった産地もある。
「出荷したいのも山々ですが、運賃が高くなって・・・」
と、地元圏内や出荷しても一番近い三大都市圏の一つまでという産地が出てきて、量だけでなく品揃えに影響が出た産地もある。

 卸売会社の立場で言えば、取引先の経営方針・収支バランスなど、BCPに関わることをしっかりと考慮し、お互いに話し合っておく必要がある。赤字の会社は言語道断だが、黒字の会社でも状況の変化によってBCPを考えておく必要があるのだ。そうでないと年次計画が描けない。

 昨年の暮れ前、関西の花き市場が倒産した。今年に入ると首都圏の2社が自主廃業をした。卸売市場だから社会インフラなので影響が大きい。
 しかし、冒頭にお話した通り、たった1軒のお寿司屋さんでも少なからず市民に影響を与えるのだ。

 足元の2013年から消費税が上がる2014年、2015年まで統廃合が激しいと見る。
 花き業界で仕事をしていく上で、BCPについて再度考える必要がある。リーマンショック後、3.11でBCPが注目されたが、現在の花き業界においてBCPは今日的な問題であり、BCPでサプライチェーンを構築するお取引先を見つめ直し、消費者に期待される花のサプライチェーンを極めていく必要がある。
 種苗から生産、川中・川下流通、いずれも取引先を確認する時代になっているのである。

投稿者 磯村信夫 : 2013年2月11日 15:27

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