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2014年8月18日

ホームユース主体の鍵は小売店社員の質

 8月18日、今日も荷が少ない状態が続いている。生産者もお盆休みをしていたので荷が少ないのは致し方ないが、ようやく消費税UPによる買い控えの傷も癒え、普段の買い気が戻ってきた所なのに荷が少ないとなると、小売店での販売は会社や社員の質によって変わってきてしまう。ここが家庭消費中心になりつつある花き業界の泣き所である。

 8月16日の日経新聞によると、消費税UPを消費者に転嫁出来なかった小さな企業は多いという。そしてセリ相場を見ていると、まさにその通りだと実感する。今後、財政の健全化の為にもう一段消費税が上がっても良いよう、我々花き業界、特に小売店の皆様方は現場でより人間力を発揮し、しっかりと消費税を転嫁し買い控えがおこらぬ接客や商品作りの工夫をしてもらいたいと思う。その工夫の一つに、アメリカやEUの専門店がやっているように、ドルやユーロのマークを金額の前につけない金額提示がある。ファッション衣料の店では、セレクトショップの店が最初から金額を全面に出さず、質を前面に出し、金額タグを胸元などに入れて展示してある。お客さんは質を吟味し、最後に金額を見て自分の予算内であればその商品を買う。そういう風に、まずブーケや一鉢そのものの品質を見てもらい、すなわち右脳で判断してもらい、最後にyenがない数値、これが金額だというのは何となく分かるので、予算内だったら買ってもらう。もう一つのやり方は、プロの小売店として、そして、プロの花屋さんの従業員としての接客である。

 日本では大学に進学する人が50%を切るなど、OECD加盟国の中で半分より下の教育投資の国になってしまっている。花き業界も半分位は高卒の人で占められているのではないか。私ども大田花きでは、学歴は問わないが学力は問う。特に高卒の人には、植物、政治経済、マーケティングの三つと、NHKラジオの続基礎英語レベルの英語は必須と言い渡しているが、入社10年もすると、自分自身に引け目が薄れてきて勉強をしない社員も出てくる。もう一度研修を受けさせ、仕事は取引先に役立つためにあることを教え自分を発展させる。

 セリ場を見ていると、ドレスダウンなら良いのだがあまりにもだらしない格好で仕入れに来ている小売店がいる。これでは駄目で、もう一度しっかり社会人として普通に仕事人生が送れるようにしなければならない。花き振興法が国会を通り国産の花が増えてくるようになるには、まだ数年かかる。それまでの間、天候により生産は大きく影響を受ける可能性があるだろう。トラックの運転手さんも不足しているから、市場により荷の偏在も目立つ。そういった中で、実質所得が上がっていない消費者を相手に花を買ってもらう努力をする。結局、人間的にも好かれる花屋さんの店員さんになってもらわないと花は売れてこない。もう一度、JFMAやJFTD学園、あるいは、フローレンスカレッジなど、社会に出てから再度学び直す。また、自分でも自習する。このことが必要ではないか。やはり、何をするにもまず教育。そこからもう一度始めなければならない。

投稿者 磯村信夫 : 2014年8月18日 10:42

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