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2016年3月14日

国民生活にとって、農協と卸売市場は欠かせないという事実認識の上に立った改革が重要

 農業従事者の平均年齢が高齢者となった日本農業において、現内閣の下、農協改革が進められている。先日も、配合飼料を供給する会社に対して、提供価格に競争力がないことを指摘し、合併等の改善を促すことがあった。また、農協系の金融についても言及した。そして、農協改革が進められている今、卸売市場についても、何らかの構造的な改善・指導があるかもしれないと考えられる。

 私は、花き産業で働く一人として、日本の園芸特産物農業の現状を理解しているつもりである。イタリアより長い日本列島の縦長の地形と、戦後の農地改革によって狭くなってしまった1戸あたりの耕地面積、この2つの弱点を日本農業は持っている。これを補ってきたのが、協同組合精神による農協の各産物部会の集配センター・販売センターとしての役割、また、消費地の卸売市場の集配センター・販売センターとしての役割だ。園芸特産物においては、この社会インフラが、国民生活にとって欠かせないものであるとの事実認識をした上で、農協改革や農業者団体、関係業者の改善・勧告等が為されるのであれば良い。しかし、地域農協、地域卸売市場が成り立たないような改善命令であれば、アメリカ・EUのように、国が農家の所得を一定水準保証しないと、先進国では農業はやっていけない。

 一方で多様性を謳い、一方で効率を求める。そして、効率の中には強者の支配がある。どのようにバランスをとっていくか。あらゆる法人や業種、そして、生物は、生きていけるのなら多様性があった方が良い筈だ。「生きていくために多様化して形を変えていけ」というのであれば、農協改革の下、農業者へのサービス企業として、それぞれの企業は喜んで自己改革をしていくに違いない。

 それにしても、日本の農業従事者の平均年齢が高齢者であるという事実は、国を挙げて農業の重要性をアピールし、後継者が生まれる環境を作り、若者が農業をやりたいと思うような状況を作っていかなければならないことを示唆している。個人の担い手が少ないなら、法人が農業を行うのも良いだろう。東京オリンピックまでのここ5年が、大運動をしていく最後のチャンスではと思われる。

投稿者 磯村信夫 : 2016年3月14日 13:28

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