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2014年7月 1日
vol.105 日本のユリはどこから?【前編】中村農園(高知県)
世界はサッカーで熱くなっていますが、ウン探は熱い生産者や種苗会社を求め、高知県にやってきました!
今回の特集はオリエンタルユリ!
日本でオリエンタルユリがこれほど広まり定着したのは、ひとえにオランダから球根を輸入する球根専門の商社さんと高い技術を持つ生産者さんのお・か・げ!^^
今回は、前編で全国でも屈指の球根専門の商社さんである中村農園と、後編ではとりわけ冬の供給を支えるブランド産地JAとさし高石花卉部会をご紹介します。そして、 日本はいつからユリ大国になったのか、カサブランカヒットの秘密に迫ります!
早速やってきました、中村農園。
高知市の海沿いにあります。(竜馬像のある桂浜から車で5分)
中村農園とは、主にユリなどの球根を海外から輸入し、全国の生産者に卸したり、ドライの球根を販売する業務を中心とした球根の卸売会社です。取扱品種数は400余品種にも及びます。
こちらは専務取締役の中村慶吾(なかむら・けいご)さん。
そーですねぇ、歌舞伎役者の市川染五郎さんか尾上松也さんを思わせる上品な雰囲気です。
そして、一緒にウン探と読者の皆様に球根のミステリーをご紹介してくださるのは、こちらの山本祐督(やまもと・ゆうすけ)さん。
切花および球根生産を担当され、テストハウスでの技術試験などを行う研究者です。
橋下徹大阪市長のエッセンスが20%くらい注入されましたという雰囲気でしょうか。
そしてお二人ともお若い!
中村農園の主な輸入先はオランダ、
そして近年増えているのがニュージーランドや
チリなどの南半球からの輸入です。
ユリをメインに、フリージアやチューリップなども輸入、販売します。
う~ん、でもどうやって??(・_・*)?
どのように品種を決めて、さらにはその品質が間違いないものだというのは、どのようにチェックするのでしょうか。しかも、輸入しても球根はすぐ芽が出てきてしまいそうですが、日本の生産者さんが欲しい時期に合わせて納品するにはどのように調整するのでしょうか。うーん、わからないことだらけ!!( ̄Д ̄;;
・・・なんだかとても難しいお仕事のように思いますが、どのように進めていくのでしょうか、中村専務。
「よりよい球根を日本のお客様に届けたいという気持ちが大元にある。
だから、当社の社員がきちんと現地に数回足を運んで、畑に入れてもらって、品質をチェックするよ。
オランダでも行うし、そのほかのニュージーランドやチリでは全ての農家さんを一軒一軒見て回らせてもらうんだ」
圃場を見せてもらい、事前に綿密な品質チェックをしてから仕入れを行うのですね。
「注文してからは船で日本に届くんだ。
例えばオランダからだったら所要日数は45日くらい。実際には、こちらでシッピングの指示を出してから到着まで2カ月くらいかかるよ。
その際に日本のお客様の作付計画に合った時期に、球根が最も良い状態であるように納品するんだ。これが私たちの仕事」
年間どのくらい船で到着するのですか?
「年間、(40フィート)コンテナでおよそ200本」
ぬぁんと、その数、年間200本!
毎週入荷があるので、年間50週としても1回4コンテナ分がドドーンと入港し、この中村農園に届けられるのです!
4コンテナ分でドンダケ~??o(@.@)o(←古い?)
もうこれはあとで見せていただきましょう!
「この間、暗室で"冷凍"されてくるんだよ」
れ、冷凍?
船便で冷凍されてくるのですね。冷凍されてもユリは生きていられるのですか?
「生きているよ。生きていられる温度と湿度に設定するんだ。
気持ち良くお眠りいただくためにね」
いざ、冷凍!
この先のお話を伺うために、中村農園の冷凍庫にいざ潜入です。
こちらが冷凍用の倉庫です。2009年に創設されました。
「この冷凍庫の特徴はね、ソーラーパネルが設置されていることなんだよ」
ソーラーパネル?冷凍庫に?
「そう。ソーラーパネルの特性と球根の貯蔵庫というのは、実は機能として相性がいいんだ」
ぬぁんと!?
「冷凍庫は暑い昼間に電気消費量が多くなるでしょ。ソーラーパネルも太陽が出る時により多く発電できる。
さらにはソーラーパネルを屋根に一枚配置することにより、冷凍に非効率な光や熱を遮断することができる。」
高知のこの辺りは、海沿いですし日照量も多そうですね。
冷凍庫とソーラーパネルのマッチングとはいいアイディアですね。
「ソーラーパネルを設置したことにより、冷凍コストを削減することができるので、その分生産者さんへ球根の保管料を還元しているんだ」
Wonderbaarlijk!(オランダ語で"スヴァラシィ!"v(≧∇≦)v )
こちらは、ソーラーパネルを使用することによって削減できたCO2を累計で示しています。
←CO2削減量表示パネル
ほんと、中村農園は社会に貢献していらっしゃるのですね。
冷凍のしくみがわかったところで、いざ冷凍庫へ。
「まずドアを開けてすぐのこのスペースは通路になっているんだよ。
納品時にトレーラーが入ってきて、荷を下ろす時にコールドチェーンが途切れないように、トレーラーごと冷凍庫に入ってドアを閉める。この通路で荷降ろしを行う。今ここにある球根は今日入ってきた球根と、これから産地さんに納品準備するもの。いわゆる球根の入出庫の場所で、私たちはここを"前室(ぜんしつ)"って呼ぶんだよ」
徹底したコールドチェーン!しかもオランダからの設計はさすがプロフェッショナル!
球根に気持ち良くお眠りいただくための環境って、一体どのようなものなのでしょうか?
「マイナス1.5度、湿度80%以上。
この環境が、球根に静かに、心地よーーーくお眠りいただける条件なんだ」
温度設定はこの前室から既にマイナス1.5度!ヒエ~ッ
入った瞬間は気持ちいいのですが、数分いるとすぐに寒~くなってきます。
「実際の保管庫はこの奥にあるんだよ」
ジャジャーーーン!と開いた重そうな扉の向こうにあるのは、黒いプラスチックケースに入った球根の山!
800ケースくらいが1つのコンテナに入って、オランダから送られてくるのです。
それが1週間に4コンテナ分って、やはり想像を超える量です。
「この冷凍庫の特徴は、冷凍機のユニットが部屋の中心部について、冷気が左右に振り分けられるようになっていること。冷たいけど、ゆっくりとした柔らかな風が部屋全体に流れるようになっていなっていて、冷凍庫内のどこの温度も一定になるようにしているんだ」
そしてみなさん、中村専務が重要なことをおっしゃいました。
「温度は冷凍だけど、球根自体は凍っていないんだ」
え?ナヌッΣ(゚口゚;
凍っていない?
なるほど、まるで零下のところで人が生活しても、人の体は凍らない!のと同じですね。
球根は生きている!
この設備もオランダに倣って、日本に合った形にアレンジして作りました。
それにしても、冷凍保存をされた球根から生産者さんはどうやって栽培を始めるのでしょう??
「冷凍から今の時期に急に外に出して栽培しようとすると、芽の生育スピードに変調があったり、定植後のハウス環境への適応が遅れた場合、思ってもいないようなトラブルに巻き込まれたりするリスクがあるんだ。
だから当社では、"解凍サービス"もしているんだよ。」
解凍サービス? エー?(ё_ё)ナニナニ??
「1-4週間かけて、2-13度くらいの温度帯で保管し、芽が動き出すのにちょうどよいコンディションに整えるんだよ」
社会トレーニングのようなものですね。
「そうそう。発芽して、地表から30cmくらいになるまでの花芽形成の時期、温度や環境というのは、ユリの生育にとってとても大切なんだ。」
なるほど、幼少期の経験が成人になってからも重要という点においては人と同じで、三つ子の魂百までみたいな感じでしょうか。
「それに、1-2月に植える産地さんと8-9月の夏に植える産地さんがいらっしゃるでしょ。栽培プロセスも球根を受ける季節によって全く違うんだ。だからこちらから納品するコンディションは季節や産地さんによって、カスタマイズするんだよ」
なるほど、球根品質には最後まで責任を持ちます!という姿勢。これぞ中村農園ブランド。
試験農場
お客様に販売するのに、生育特性がわからないといけませんから、自社の農場(ハウス)を持ち、ここで取扱品種を試験栽培しています。
オリエンタル、アジアティック、テッポウなどユリの大分類において栽培環境を調整しますが、同じ種類の中では温度、同じ分類の中では温度、灌水、肥料管理など、同条件においてどのような生育特性があるのかを観察します。
もちろん、管理履歴もすべて記録。
「夜間は15度から20度、日中の湿度は50%以上、理想的には60%で管理しているんだ」
と栽培管理エキスパートの山本さん。
訪問時に満開だったのは、6月4-8日に開催されたゆりフェスタに合わせて開花させたため。早生、中生、晩生と品種によってそれぞれの性質があり、本来はその生育期間を見るためにも同時定植します。
しかし、ゆりフェスタのときばかりは一斉に開花するよう先読みして植え付けてあるので、これほど一度に開花輪を拝見できるのは、本当に貴重な機会なのです。
「1年のうち、最初に行う試験栽培がゆりフェスタに合わせた開花試験、その次に真夏に行う酷暑試験、夏の終わりに植える抑制試験、それから最後に南半球産の球根を使って真冬の栽培試験と、年間4回季節に合わせて試験栽培するんだよ。
だから、この圃場は1年中フル回転!常に栽培していて、観察を続けているんだ」
球根大解剖!
みなさん、ユリの球根の鱗片(りんぺん)をはがしてはがして、中身がどのようになっているか、見たことありますか?!ぬぁんと、この度中村専務と山本さんが、ウン探とその読者である皆さんのために、貴重な球根を大解剖してくださいました!!
イチドウ、チューモーク!(☆。☆) キラーン!!
まず、球根の外観はこのようになっています。
肉厚の鱗のようなもので形成されているため、鱗片と呼ばれます。
球根の鱗片には、次のような役割があります。
① 球根の中心奥深くにある芽を守る
② 栄養分を蓄える
と解説しながら、次々と手際よく鱗片をむいていく山本さん。
こんなにむけるものなのですね。むいてもむいても次の鱗片が出てくる。なんだかまるで天然のマトリョーシカのようなわぁ~。
「鱗片も外鱗片(がいりんぺん)と内鱗片(ないりんぺん)とがあるんだよ」
え∑(・o・;)!そうなんですか?その境は?
「これが去年出た芽なんだけど、
その外側にあるのが外鱗片(ここに辿り着くまでにむいたのが外鱗片)、内側にあるのが内鱗片(これより内側にあるのが内鱗片)というわけなんだ」
と言いながら、スルスルと内鱗片をむいていく山本さん。
何枚くらいあるものなのでしょうか。
「オリエンタルで30-40枚くらいかな。
スカシやテッポウなど種類によっても数は違うよ」
それにしても、それ以上むいて大丈夫なんですかぁ??
むいてむいて、"何もありませんでしたッ"とかナシですよ!
さて、この鱗片の奥にあるものは・・・・?
あ!ナンカ違うものが出てきた!!
「この部分は葉なんだよ。
既に球根の中で葉はでき上がっている」
Ohhh!これは葉なんですね。
さらにむいていくと・・・
ナンカまた別のモノが出でぎだーーーーッ!
「コレコレ。この頭頂部にチョコンとある柔らかいゼリー状のもの、これがユリの芽(生長点)だよ!」
わ~、みなさん、ご覧ください!
ウン探史上初公開!球根の中に眠るユリの芽!少し透き通ったように見える頭頂部がユリの芽なのです。
こんなに小さいんだ!っていうか、うまく撮れない_;
おまけに肉眼でもよく見えない・・・自分の目でさえも焦点定まらず。目が見えないのか、芽が見えないのか・・・あ、両方か。
とにかく頭頂部にチョンとあるのが芽です!
「これほど小さくてデリケートなユリの芽だからこそ、急に暑いところに持って行って生長していくと、芽に障害が出てくる。
だからこそ、解凍処理というひと工程が必要なんだよ。このひと工程のお陰で、球根が環境に順化し、良い品質のものができるんだ」
と中村専務。
球根そのものよりも、なによりこの"芽"が大事とおっしゃいます。
「私たちが海外に行って球根をチェックする時は、こうやって球根を中まで見せてもらって、茎の太さや長さ、あるいは葉の枚数を数えさせてもらうんだ。
その上で過去のデータと比較して、"今年はより多くの輪がつくでしょう"などと予測して、取り扱いを決めるんだよ」
かなり綿密な品質チェックをされるのですね。
「そう、ユリ球根の品質は
① 形
② 傷がないか
③ 重さ
④ そして、花になる芽の部分の品質
をチェックすることで測るんだ」
中村農園の信頼は、このようなこまやかな作業一つ一つの上に築き上げられたものなのですね。
球根を解体して品質を確認した球根の分とか料金を請求されたりしないのですか?
「実際にはされないんだけど、冗談で"インボイスに付けとくから!"とオランダの取り引き先には言われたりするよ(笑)」
↑これ本当にあった裏話。本当にこのようなやりとりがあるのだとか。それでも尚、生産者さんに保証された品質の球根をご提供するために、キッチリ品質チェックをします。
・・・ということは?今回ウン探で解体した球根代、もしかして送り状に付けられたりするのかな??_;
中村農園の取り組み
★国内での球根生産でユリを知る
オランダ産の隔離免除球根を輸入する以前、国産球根のみを扱っていた時には、自社でも多くの球根を生産していました。
しかしその後、輸入球根の取扱量が増えるにつれ、国産球根は減少。効率化を図るために高知県内の農家さんに生産を委託していましたが、球根養成(植付、消毒、管理まですべての工程)を今年から自社で行う、つまり原点回帰することにしました。
これはつまり、完成品の取り扱いにシフトしてきた従来よりも、さらに生産のプロセスに社員全員が参加して球根そのものを見つめ直すという中村農園のポリシーの表れです。
規模は決して大きくありませんが、球根の生理や日本の気候への適応性、収穫後の冷蔵など国内
での生産を利用して研究をしていくことにより、取り扱い商品全体に対するノウハウを確かなものにしていきたいと思っております。
国内産球根はドライセール向けとしても需要が多く、消費者に販売する球根としては、オランダから入ってきた小さい
球根を大きく育てること。
大きい球根の方が花付きがいいので、小さく仕入れて大きく育てる!でも締まっている、見た目以上に重みがあるものというのも大切なポイントです。
★中村農園の重要な役割
オランダで良い品種が開発されたからといって、日本の気候で上手く栽培できるかどうかは別問題。
そこで、中村農園では自社圃場で試験栽培をします。その上で、日本の生産者さんでも負荷が少なく栽培できるものかどうかを判断するのです。
また、開花したものはゆりフェスタなどで、消費者も含め多くの花関係者に見てもらい、アンケートを取るなどして、反応を見ます。その結果をオランダの種苗会社にフィードバックし、日本のマーケットが求めているものを伝え、今後の育種の方針にも役に立てもらうのです。
つまり、中村農園の重要な役割は「つなぐ」ということ。
オランダの品種が日本の環境に適合しているかを確認し、良いものを日本のマーケットに紹介する。
また、多くの品種を開示しマーケット調査を行った上で、オランダにフィードバックする。
日本の要求レベルはとても高く、オランダの球根会社からは、
「日本人、キビチーッ!」っと思われているようです。生産者の技術も高く、消費者の要求も高い。
中村農園のような日本の球根卸売会社が、そのような実情を伝えているからこそ、日本には品質的なプライオリティを置いて選別した球根を納品してくれます。
中村農園は、ユリの生みの親であるオランダと日本のマーケットとをつないでいるのです。
※ゆりフェスタとは?
2007年から中村農園が始めた国内最大級のユリの展示会。数百にも及ぶユリの咲き姿を一斉に見ることができる貴重な機会でもある。
この時期に合わせ、中村農園が取り扱う品種を全て開花させ多くの人にユリを見てもらうことができる。フラワーデザイナーによるデモンストレーションやユリ販売に携わる人たちからのプレゼンテーションなども企画され、多くの人で賑わう。また、花の生産者や取り引き企業などの花業界ばかりではなく、地元の一般生活者にも来場を促し、ユリのマーケット調査も行う良い機会となっている。
で!今年は、なんと山本さんが実行委員長という大役を見事に完遂されたのです。
このようなマーケティング活動に基づき、1年間にオランダから入ってくる新品種はおよそ2割!
結構多いもんやな~。
しかし、全ての新品種がマーケットに定着するわけではありません。
「新品種が全国から出荷されるようになり、ある程度マーケットで知られるようになるまでは6年くらいかかるものなのです」
と中村専務。
「だから2割が新品種といっても、品種構成としてはコロコロ変わるわけではないよ」
「現在、当社が取り扱っているユリの品種は、オリエンタル、スカシ、テッポウを合わせて470品種ほどあるよ」
と山本さん。
えーΣ(゚口゚;! ユリだけでそんなにあるなんて!
ザンベジ
・・・ん?と思われた皆様へ。
ザンベジとは、中村農園様が取り扱う品種のひとつで、白いオリエンタルユリです。
6月上旬に大田市場の中央通路で行われた大田花きリリーセレクションでは、日々花販売に携わる私どもでさえ圧巻なユリの展示でしたが、その中でも威光を放っていたのが、このザンベジ。
その質感や花姿が女優の綾瀬はるかさんのイメージでした。←あくまでも個人的意見です_;
何という品種名かと興味を持って名札を見ると、なんと「ザンベジ」・・・(-_-)
何かの間違いではないかと思うほどのネーミング。しかし、ザンベジに間違いありません。
そのネーミングの心は?山本さんに伺ってみました。
「名前は基本的には品種を開発したオランダの育種会社が付けるんだよ。
英語名の場合は、どのようにカタカナに変換するかというのは私たちが考えたりする。例えば、Lincolnという新品種があったとすると、"リンコルン"か"リンカーン"か。
もちろん日本人にとっては"リンカーン"だよね。
私たちの会社ではこのような判断をするけど、基本的な名前は変えないで日本のマーケットに販売していくんだ。
オランダの育種会社は都市名とか川の名前とか、固有名詞をユリの名前に付ける傾向があるんだよ。
ザンベジは川の名前とかって聞いたよ」
あー、なるほど、アフリカとか流れてそーですねぇ・・・と思って調べてみたら、ありました。
ザンベジ川。
う~ん、でも日本人には何とも馴染みの薄い川。略して"ウスカワ"←略す必要ないケド!
しかもイメージしにくーーーいッ!もう少し、私日本人にとって、わかりやすい名前って付けてもらえないのでしょうか(゚ー゚;A
「今はオランダの種苗会社もそのようなことを考慮してくれるようになって、"いい名前があったら教えてね"と尋ねられることはあります。
しかし、オリエンタルユリ自体が海外のイメージがあるので、和名が付けられることは少ないかな。過去には"サッポロ"とか"キョウト"とか付けられたことはあるけどね。
ただ、こちらからお願いすることは、あまり長い名前は付けないでねってことなんだ。以前、ウィルケ・アルベルティとかアンニ・フリージンガーとか付けられたことがあってね。これはさすがに日本人に馴染みがないし、覚えにくいでしょ(笑)」
もしくは、中村農園さんで日本のマーケット用に名前を変えて販売することは難しいのでしょうか?
「オランダの種苗会社から日本の複数の球根卸売会社が仕入れて販売しているからね、同じ品種を別の名前で販売したら、市場が混乱するでしょ」
そうですねーー。そうなるとやはりオランダの育種会社が良い名前を付けてくれるのが一番というわけですね。
そして都市名をユリに付ける傾向がある・・・でピンときました!キタ━!(゚∀゚)
オリエンタルユリの代名詞とも言えるほど有名な品種、"カサブランカ"!
「白い家」という意味ではありますが、モロッコの最大都市でもあります。
1970年代にオランダで開発され、皆様にもお馴染みのように世界的な大ヒット商品となりました。
そのほかソルボンヌもそうですし、なるほど、ユリの名前には世界の都市名、河川名が多いわけですね!
中村農園の誕生
中村農園の発祥を辿れば、中村専務のお祖父さまがこの地でスカシユリやテッポウユリの花生産をしていたことに始まります。
当時は、海外から輸入される球根もなく、国内で切り花用の球根を仕入れていたのが、今では海外から仕入れて日本の生産者に球根を卸す仕事がメインになりました。創業1955(昭和33)年、来年で創業60周年記念です!
地元の人たちに販売することが主でしたが、現在では全国の生産者さんに卸しています。
海外の球根を取り扱う大きなきっかけは、1990年の「オランダ産隔離免除球根」を中村農園が国内で初めて輸入したこと。その数およそ50万球 Σ(゚口゚;
「オランダ産球根」は、これまでずっと植物検疫の関係で海外からの球根を輸入販売してはいけないという法律だったのが、条件付きで「オランダ産だけはいいよ」と許可が出て、中村農園が国内に先駆けて取り組んだというわけなのです。
いま、私たちが立派なオリエンタルユリを楽しめるのも、この中村農園さんの第1歩があったからこそ。
オランダ産の球根が国内に流通するようになってから、国内のユリの生産額、消費額もウナギ登り。ユリは本来春夏に開花するものですが、周年入手できるようになったのも、オランダの球根のお陰。
現在の日本のオリエンタルユリ文化の創造に深く寄与されているのですね。
こちらがその創始者、中村利道 前社長。
一同、最敬礼!(`・д・´)ゝ
そして、今の中村農園を支える従業員さんたちは、平均年齢35歳。上向きで若い会社なのです。
将来の有望品種!
最後までうんちく探検隊を読んでくださった皆様へ、感謝の気持ちを込めて、超とってもココだけの話!をお知らせしちゃいます。
5-6年後にマーケットに登場すると思われるユリ・・・
「もうアレしかないでしょ」
と中村専務と山本さんが目を合わせて頷いたその品種こそ・・・
念押しですが、本当に誰にも言ったらいけませんよ!皆様とウン探だけのナイショにしておいてください!( ̄X ̄)
先日の中村農園で開催された「ユリフェスタ」の人気投票で、数百品種の中から第1位に輝いた品種が、これから5-6年後・・・う~む、ちょうど東京オリンピック開催のころでしょうか・・・に、マーケットにデビューするのです!
その堂々1位に輝いた人気のユリこそ・・・・!
"スノーボード"!!
珍しい白のキレイな八重品種!
花の向きも上向き!
花付き良好!しかも輪サイズが大きい!
名前も日本人にはとても馴染みのある響き!
これこそまさにヒットのよ・か・んウフ
皆様、くれぐれもナイショではありますが、どうぞお忘れなく、是非デビューを楽しみにしてください!
そして、ゆりフェスタのテストマーケティングでアジアティックの八重も人気という結果が出ています。
「当社としては、オリエンタルの大輪は業務用としてさらに改善を重ね、皆様に使っていただきやすい品種として育てていくと同時に、新たなマーケットの開発としてパーソナルユースに対応できるアジアティックなど小輪系にも力を入れていきたいと思います。あらゆるシーンで使われる用途に合わせ、より広く皆様に身近な花として楽しんでいただけるよう、新しい品種の流通を目指していきます。」
高知の偉人
ご存知の通り、高知県からは偉人がたくさん誕生しています。
高知が輩出した偉人といえば・・・
坂本龍馬
ジョン万次郎
中江兆民
板垣退助
すごいな、ちょっと挙げるだけでも国の歴史に大きな影響を及ぼした人がたっくさん!まだまだいらっしゃいますよ~。
吉田茂 wow!
山内一豊
長宗我部元親(中村農園のすぐ近くに墓地が!歴女がよく来訪するのだとか)
岩崎弥太郎
寺田寅彦・・・「天災は忘れたころにやってくる」の人
牧野富太郎(日本が誇る植物学者)
そして、
中村農園。URL http://www.nfb.co.jp/
どうぞみなさま、よろしくお願いいたします。
・・・後編に続く・・・