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2015年1月15日

vol.108【番外編】病院への生花持ち込みについて◇後編◇青山フラワーマーケット鴨川・亀田メディカルセンター店

前編の亀田総合病院の亀田信介院長へのインタビューに引き続き、青山フラワーマーケットさんにお邪魔いたしました。

鴨川・亀田メディカルセンター店です。

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一見、市中の青フラさんと全く変わらないように見えますσ(゚・゚*)ウム・・・

香りのブーケも置いてあるし、

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ふむふむ、置いてあるものも同じに見えます。

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鉢植え商品までクリスマスとお正月と季節商材をきちんと揃えています。

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ハサミやその他小物なども置いてあり、通常の駅前店と変わらないように思います。

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おっと、売り場内のPOPで発見!こちらの横顔は榎本バラ園さま(千葉県君津市)ではありませんか!

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 榎本バラ園さまの特設コーナーがありました。

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う~ん、でも何か大きく違うところはるのかな~(゚ペ)?

ショップマネージャーの小川ふみ江さんに直撃インタビュー!

・・・ですが、大変控えめな方なので、写真は接客中の後姿のみにて(*´ェ`*)テヘ

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基本的にはほとんど同じです。特に今はクリスマスシーズンなので、赤い花やクリスマス商品が多めです。キク類は少ないかもしれませんが、お正月、お盆やお彼岸のシーズンになれば、もちろんキクも販売しますよ。

そのほか、市中の店舗ではお持ち帰り用に花を保水ゼリーに入れてお包みしていますが、こちらでは花瓶にそのまま挿してお部屋に持って行かれる方も多いので、そのようなご要望に対応した提案をしています。」

確かに"花瓶に入れてそのまま持っていきまーす"というようなニーズが多いのは想像できますね。

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「その際には必ず切り花栄養剤を使います。ウチでは、花瓶の水にもカゴに入ったアレンジメントに使う水にも全てに切り花栄養剤を入れているのです。(もちろんこれは他店舗でも同様です)

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"切り花栄養剤"とは、抗菌剤と花が長持ちする栄養とが入った切り花専用のフラワーフードです。これが入っていれば毎日水を取り換えなくても、花を長く楽しむことができ、且つ花自体も大きく開花するのです。病院内で花を楽しむには本当にちょうどいいですね!(ご自宅でもこれを使うのがスタンダードですが)

青山フラワーマーケットさんでは、適切に希釈した水を事前に作っておきます。

 

「それから人気は明るい色ですね。赤や濃いピンク、それにオレンジや黄色などのビタミンカラーも人気です。」

と小川さん。やはり元気が出る色じゃなくちゃ!

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お客様は、お見舞いにいらした方ばかりではありません。入院されている方がご自分用に車椅子で買いにいらしたり、地元の方がご自宅用にご購入されたりもします。

ですから、ほらこの通り!土まで販売しているんですよ。

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病院から何か言われていることやお客様が何か気にするようなことはあるのでしょうか。

「病院から特に厳しく言われていることはありません。お客様もお見舞いの生花について、あまり細かいことを気にされている様子はありません」

 ま、確かにそりゃそーか。病院が禁止していないのだから、お見舞いする方も好きな花を自由に買って行かれますよね。

「香りを楽しみたい人もいるので香りのブーケも用意します。今でしたらバラのほかにヒヤシンスやスイートピーなど

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亀田院長がおっしゃっていた"厳密に無菌コントロールする"ために、生花持ち込みを控える必要のある病棟に関しては、このようにレジ横のボードで案内しています。

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ウン探が拝見したところ、他の駅前店と異なる点はこのポイントくらいです。

このように青山フラワーマーケットさんが院内に出店したのも、亀田院長の熱い思いがあるからこそ。

1922.jpg「都会の人たちと同じセンスで、鴨川にいても同じような生活を楽しんでほしい。

花は芸術。病院の生花店には豊かな感性で提案してほしい」

と、青山フラワーマーケットを運営されるパークコーポレーションの井上社長に会うため、亀田院長自ら足を運びました。

それまで「都市部の駅中・駅前にしか出店しない」と銘打っていた井上社長も、亀田院長のコンセプトにたちまち共感。あっという間に意気投合し、亀田クリニックさんでの出店が決まったといいます。

 

そして、この店舗あり。亀田クリニックさんの1階にあります。

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外来の受付フロアですが、お店の周りも決して病院独特の堅苦しさや直線的な冷たさがありません。

アタクシ自身の経験から、どこの病院に行っても多少緊張するものですが、こちらは天井にお魚ちゃんが泳いでいたりと、海の街鴨川らしさがあり、明るく、柔らかく、温かい雰囲気に包まれています。

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亀田メディカルセンターさんには、ローソンもタリーズ・コーヒーも、都心の美容室もネイルサロンもパン屋さんもあり、更には画竜点睛的に青山フラワーマーケットさんが入店され、都心と変わらないような生活ができるひとつの街(と言っても過言ではない!)が院内に創生されているのでした。

 

 おまけ◇ギフトマーケットについて考える◇

2012年、病院のお見舞い品ギフトマーケットは2,300億円(前年比ダウン↓)。これは花だけではなくあらゆるギフトを合わせたマーケットサイズです。

快気祝いの花ギフトマーケット1,800億円、バレンタインデー1,150億円より大きいマーケットです。(出典:『月刊パーソナルギフト』ビジネスガイド社)

と考えると、病院でもう少しお見舞いの生花を容認してもらえるような動きが出れば、花ギフトのマーケットも伸びしろがあるというものです。しかし、それでも尚、花き流通に携わる私たちは病院に従事されるみなさま、患者さまやその周りのみなさまのお考えや立場に立脚し、利便を図った商品をご提案する必要があります。ユーザー目線に立つからこそ、マーケットのシェアを伸ばしていけるものでしょう。 

 

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◇編集後記◇その①

亀田総合病院さんを訪問し、ホスピタルの語源をしみじみと思ってしましました。患者さまやその周りの方への温かいホスピタリティを提供される本当のホスピタル。取材でお邪魔させていただきたい旨をお伝えすれば、先回りをして有難いご提案をしてくださる広報の松元さん。これもホスピタリティ。

このホスピタリティという言葉もホスピタルも、ついでに言えばホスピス、ホステル、ホテルもすべてラテン語のhospes(「お客様」の意味)に由来しています。ホスピタルとはもともとお客様をもてなすところ、宿泊所という意味でしたが、そこで旅の傷や心を癒す行為が生まれ16世紀ころから「病院」という意味で使われるようになりました。亀田総合病院さんは限りなく高級ホテルのようなおもてなし(hosipitality)を施す最高のホスピタルであると痛感しました。

「ただ、ホテルはお金を払えば相応のサービスが受けられるもの。米国の医療がそのようになっています。しかし、日本は国民皆保険ですので、当院ではすべての人に平等に満足していただける究極のパーソナルサービスを提供しています」という松元さん。

その大きな視点に立てば、生花持ち込み是非の議論は本当に小さなことにように思えてきました・・・。

そしてみなさま、この度の番外編の記事を前編からご覧になってお気づきになったでしょうか。

亀田総合病院の皆様は(恐らくグループの皆様全員だと思いますが)、患者「さま」とお呼びになるのです。いかに患者さまを大切にして、たとえ一瞬だとしても亀田総合病院さんで過ごされるひと時を楽しんでいただこうという思いが、その一言に詰まっているように思います。その姿勢にただただ頭が下がります。

産業規模も業種も全く異なりますが、社会に貢献すべく仕事に従事する者として、ウン探は今回の取材で大変意義深い勉強をさせていただくことができました。

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◇これで終わりかと思いきや、しつこくてすみません的編集後記◇その②

亀田総合病院さんでは、インターンシップというのでしょうか、研修医の受け入れをしていて、全国から先生たちが研修に来ては元の病院に帰られるそうです。

「ここは学校でもあるんですよ。うちに在籍していた先生も、研修していた先生もみんな亀田フェローだよ」と亀田院長がおっしゃっていました。全国でも現役でご活躍されている先生は亀田フェローの方も多く、例えば今上天皇の心臓手術の執刀医も、亀田総合病院で心臓外科を学ばれた方なのだとか。

このように亀田スピリットが全国に浸透すれば、徐々にでも院内に生花禁止の風潮も緩和されるのではないでしょうか・・・と将来に期待しています♪

これで本当におしまい。長い間お付き合いいただき、ありがとうございました。illust3044_thumb.gif

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<写真・文責>:ikuko naito@花研

Copyright(C) Ota Floriculture Auction Co.,Ltd.