2007年11月05日
vol.46 秋田国際ダリア園
ダリアと言えば、10年前は小・中輪の品種が殆どで、色幅も狭く、仏花のイメージが強い花でした。
さらに、オランダから入ってきたダリアはその当時、高価で貴重だったため、盗難から守る目的で、「球根に毒があるから食べてはならない!」との噂が流れていました。
そのことが、人々を一層ダリアから遠ざけてしまったようで、決して人気のある花とは言えませんでした。
しかし、ヨーロッパでの大輪花ブームが日本へ波及すると同時に、一躍 脚光を浴びることとなりました。
これまでにない驚くほど大きな花と花色の豊富さは、日本人の心に強烈なインパクトを与えました。
そして、今や大輪花のシンボル的存在として、昔のイメージをすっかり刷新しています!
今回はそんなダリアの普及と球根の存命、新たな品種開発に取り組んでいる秋田国際ダリア園の園長を訪ねました。
〜ダリアにの普及に心血を注ぐ男!〜
ここでは、切り花の営利栽培を目的とする生産者にも球根を販売しているため、球根養成のための広〜い圃場を備えています。
そこで最近では観光客だけでなく、ダリアを栽培する生産者の方も いち早く新品種情報を収集しようと、ココを訪れるようになっています。
圃場は足元が悪いため長靴に履き替えて、私達も いざ出発!
トレードマークの赤い服と帽子を身に着けた園長の鷲沢氏は、「ほらっ、見れー!」 「これも いいっしょ!」 「『黒蝶』?そんなのたいしたことねぇー。いいのはまだまだあるぅ!」とズンズン歩みを進めながら、独特の秋田弁で自信作を紹介してくださいます。
「ええ白 見せてやるぅ!今年の新作『モスクワの冬』って言うんだぁ。」
「デザイナーが涙流して喜ぶようなの いっぱいあるぞぉー!」
「これは『新庄』。
あの野球選手の名前を優勝祝いに付けたんだー。」
「これ、横から見ると白く見えるべぇ。
『呉羽』って言うだ。何でかって言うと昔 呉羽丸に乗ってからだぁー。」
そうです、鷲沢氏は元 船乗りだったのです!
まだまだネタは尽きませんが、ここで 鷲沢幸治氏のプロフィールをご紹介します。
■秋田県 角館生まれ
■商船会社に入社し貨物・客船のエンジニアとしてアメリカ・ソ連をはじめ14カ国を航海し、その間にベトナム戦争を体験する。
■その後、秋田船川港のパイロット事務所に入社し、チーフエンジニアとして働く傍ら、独学でダリア栽培を始める。
■40歳で退職後、明治・大正・昭和にわたってブームを呼んだダリアの復興と、地域観光を目的とした秋田国際ダリア園をオープンし、現在に至る。
<若かりし頃の鷲沢氏>
■全国でダリアの栽培技術指導にも力を注いでおり、今や生産者の強い味方!!
■秋田国際ダリア園には、世界14カ国650品種、7千株、6万本があり、そのうち1/2が鷲沢氏作出の改良品種となっている。
秋田ダリア園は、雄物川(おものがわ)沿いで、且つ窪地にある為、霜も降りない好立地!!
花が満開になる秋は観光客で賑わっています。
※今年の開園期間は、11/4で終了しました。来年をお楽しみに♪
さてさて、現地レポートに戻ります。
圃場では蕾のうちに摘み取らなければならない芽摘みが間に合わないほど大量のダリアが植わっていました。
そこで、私達を案内をしながらも芽摘み作業で手は忙しく動いています。
咲き終わった花に「ごくろうさん!」と声をかけながら摘んで歩く鷲沢さんの後ろには、大輪の花が足跡のように落ちていました。
世界を渡る船乗りから、日本を代表するダリアの育種家へと華麗に転身し、世界に知られる存在となった鷲沢氏、いずれにせよ世界を股に掛ける男です!!
そして、2004年国際ダリアショー(国立フランス園芸協会主催)では、
鷲沢氏 作出の『虹』が外国部門グランプリに輝きました!!
中大輪で、白をメインに丸びを帯びた花弁の先端に向かって淡い紫色が加わるのが特徴です。
今後の育種の方向性を伺ったところ、
「ウチは男3人だから、もう1人女の子をつくりたい!」なんて冗談をおっしゃっていましたが、
10年に1度 オランダで開催される国際的な園芸市 フロリアードが次回は2012年に開催されます。
そこで皆が驚くような新作を発表したい!と密かな意欲を燃やしているようです。
これから生み出される新品種にも期待が大きく膨らみます!
〜時代の潮流と共に〜
ダリアの流通は数年前から周年化が進み、各地の生産者さんのおかげで、今では1年中楽しめる花となりました。
それでも、季咲きである秋の入荷量は多く、花持ちもよくなるこの季節のニーズが高いのが実情です。
ダリアブームの火付け役となった人気品種『黒蝶』は、世界的な潮流にピッタリとはまっていました。
そのキーワードは、
◇デコラティブ(装飾的な)
◇グラマラス
◇流行色の黒 と言えるでしょう。
また、秋と言えばブライダルシーズン!
今は“和婚ブーム”、つまり和装での挙式人気の高まりから、和花や濃い色合いの花も使われるようになりました。
しかも、大輪だから作業も非常に効率的でありながら、インパクトを与えることができる!
そんなニーズに『黒蝶』などの大輪ダリアはピッタリなのです!
もちろん、白系ダリアの人気も高まっています!
その代表格が『白山』⇒⇒⇒
そして、『かまくら』といったです。
今回、久々に同行した宍戸隊長がナント、このダリアの仕掛け人でした。
そんな隊長のオススメ品種は、絞り咲きの名花 『ブリストルストライプ』(写真中央)、
そして、今年の新作『黒い稲妻』(写真右)
まだまだご紹介したいところですが、今後 期待できる品種はコノ後お見せします♪
〜今後のオススメ品種〜
ダリアは花の豪華さや優雅さをデザインに取り入れるべく装飾関係で多く利用されています。
しかし、これからはホームユースやギフトでのニーズも高まってくるのではないでしょうか?
今後 ダリアに求められるニーズは…
より長く楽しめるダリアを!
出荷期間の拡大と、日持ちのよいダリアの出荷が求められています。
ホームユースへの対応を考慮すると、ボール咲き品種は有望ではないでしょうか?
より個性的で使い勝手の良いダリアを!
赤、オレンジ、黒以外の品種バリエーションの充実が求められています。
また、『黒蝶』に次ぐ人気品種を仕掛ける必要があるのではないでしょうか?
ターゲットマーケティングの必要性あり!
春、秋のブライダルシーンに合わせた白やライトピンクの作付け、母の日に仕掛ける赤い品種、冬から春に売れるパステルカラーの品種、露芯し難い品種 etc が求められています!
そこで、今回見た新品種の中から切花に向いていて、今後 市場でも増えてくるであろうオススメ品種を、皆様に一足先にご紹介します!
ラララ 純愛の君 ミセスアイリーン マタドール
雪国 熱球 牧歌 ミッチャン
これらは、ほんの一部です!生産地では、沢山の新品種を導入しています。
これからの出荷に期待してください。
こうした新品種は、今後 以下の産地より出荷の予定です。
□秋田県 新あきた農協
□秋田県 秋田おばこ農協
□山形県 山形おきたま
□山形県 酒田市袖浦農協
□山形県 庄内みどり
□福島県 新ふくしま農協
□茨城県 竜ヶ崎花卉組合 山中誠
□埼玉県 藤波 幸夫
□千葉県 フルールセゾン
□長野県 みなみ信州農協
□岐阜県 飛騨農協
現在までに3戦品種を栽培するも、ウイルス病や退化によってその姿を失っていってしまうのは、球根の宿命と言わざるを得ません。
そのため鷲沢氏は、毎年100品種の新種改良に取り組み、ダリアの存命に努められているのです。
ダリアに関する基礎知識は、コチラをごらんください。
http://agsfan.com/
AGSでは、自然を暮らしの中に取り入れた新しいライフスタイルをテーマに、秋田国際ダリア園と提携関係のもと、球根の通信販売、HPにおいてダリアに関する多彩な情報提供を行っています。
秋田国際ダリア園の格言
これからも、個性的な咲き方や色、絞り品種など私達を驚かせてくれるはず。
黒蝶に変わる新たなスターを作るのはアナタ次第!
〜紅葉深まる秋田より〜
観光客賑わうダリア園にも、まだまだ驚くような品種が沢山!
コチラは『迎春』。
手のひらより大きな花を咲かせます。
ずっと見ていると食われてしまいそうな雰囲気をかもし出している花もあります。
こちらは大きく成長した花。見上げながらの写真撮影です。
そんな大きな花も、こ〜んな小さな球根から生まれるのです!
利益を追求するのではなく、純粋にダリアを愛し、その普及の為に人生を賭ける鷲沢氏は、自分のことより他人のことを思いやる本当に優しい方でした。
今回、たくさんの鷲沢語録を聞くことができましたが、最後にいつも口癖のようにおっしゃっている言葉をご紹介します。
『花は文化 心の豊かさ 押させてください車椅子』
園内には長靴とともに車椅子が…。
『背中に墓石 腹に欲 押してください車椅子』 〜おしまい〜
2005年07月15日
Vol.5 福島県福島市 JA新ふくしま
みなさま〜、大変おまたせしました!
久々の更新、ウンチク隊、東北初上陸です!
東北地方は探険隊(商品開発室)にとって縁の深いところです。
実はメンバーの半分が東北出身ですから!
しかもわれらがシシド隊長は福島市生まれなんですよ〜。
福島に着き、通りがかった墓地を見ると「シシド家」の墓石がいっっっぱい!
シシド家の本拠地に乗り込んだ感じです
(さすがに写真を撮るのはやめましたが・・・)。
故郷を闊歩するシシド隊長。
そびえたつのは雪抱く吾妻連峰です。
ちなみにその山裏がワタクシの生まれた山形県米沢市。世間は狭いもんですなぁ。
JA新ふくしまは日本屈指の小菊の産地として有名ですが、新しい品目品種を導入するスピードの速さとチャレンジ精神旺盛な生産者が多いことでも有名!
今回はあえてビック品目の後ろで見え隠れする、ほかの魅力的な品目に探険隊はロックオン!
まずは品質のよさピカイチのダリアを作っていらっしゃる奥山さんのお宅へ突撃です。


(奥山さん)
奥山さんの圃場は福島市の郊外、シシド隊長の母校(吾妻中学校)がある庭坂地区にあります。
シシド隊長曰く、ここはお隣の山形県人に「陽光の庭坂」と呼ばれるほど、気候に恵まれた地域。
東北とはいえ、冬でも日照量が多く穏やかな気候なのです。
早速ハウスの中をのぞくと、中大輪のダリア、ダリア、ダリア!
ダリアブームの先駆けとなった品種「黒蝶」もしっかり咲き乱れていますよ!
言わずと知れた「黒蝶」
「ブリストルストライプ」は隊長オススメです。

スイレン咲きのダリア。※写真左
奥山さんがダリアをはじめたのはいつ頃なんですか?
「入れたのが7年前かな。最初に入れたのは小輪・単弁のやつが多かった。」
それから奥山さん家では毎年新品種を導入しているそう。
全部でどのぐらいあるんでしょう?
「70品種くらいかな。」
こりゃすごい〜!品種名を全部覚えているとか?
ミックスで出しているから名前はわがんねな。」やはりそうですか、そうですよね〜。
「ダリアはまだまだ選抜がすすんでいないから、
複色咲きを植えても単色で出てきちゃうのもあるんだよね。
新しいのが出たらとりあえず作る。そんでよかったら増やしてる。」
固定化はなかなか難しいんですね。
「うちは切ってから集荷上で1日かけて水揚げしてから出荷しているんだよ。」)
「それとダリアはすごく手がかかるよ。芽かき、葉っぱかきに年中追われる。
うちはそれ専用にパートさんを雇っているほどだ。」と奥山さん。
でっかい花を咲かせるには大変な手間がかかってるんですね。
本来ダリアは球根の力があるので育てる分にはそんなに難しくありません。
ただ、切花として見ると水上がりも花もちもよくない部類でお花屋さんなかせですよね。。。
奥山さんは、より切花ダリアの魅力を引き出し、長く楽しんでもらうべく、さまざまな試行錯誤を重ねてきました。水遣り、土作り、仕立て方・・・どれもピカイチを目指した結果、高品質のダリアが生まれているんです。
渡辺さんの圃場
さて、お次は渡辺さんの圃場へ。
結構キツい山道を車で行くこと約15分、突如、厳重に柵囲された畑を発見!
何か国家機密?な植物が隠されているのでしょうか??
と、ワタクシ柵に近づこうとすると、
「ちょっとスイッチ切るから待ってろ!!」
実はこの柵ナント電気が走っているのでした。
危なっ、ワタクシもう少しで感電するところでした・・・(焦)
「ここら辺はサルが多くてな、ユリの球根を掘って食べちまうんだ。
去年は全滅したけど今年はちっとマシだな。」
おおぉ黒ユリの天敵はサルですか・・・恐るべし。サルの脅威から逃れて生き延びた黒ユリ。そう思うとかわいさ倍増ですな。
もっと上の圃場へ。突然視界が開けて高原が広がっています。
そこにはいろいろな品目の草花が植えられています。ネタの宝庫だ〜!
しかしここでもシカやサル、ネズミなどの被害があるそうです。
逃げるわけにはいきませんからね植物は。タイヘンです。


実は渡辺さん、高原の畑とは別に下界(?)にも畑を持っていらっしゃいます。
「品目や季節ごとに植物に合った場所で育てることができるんだよ。」
こりゃ〜すごいゼイタク!!!だからイキイキしているんですね。

つぎは別の渡辺さんのお宅へ。ここでは温帯スイレンを導入して2年目です。
「熱帯スイレン入れてくれって頼んだのに、温帯スイレン入れたんだよな〜!。」とシシド隊長。いやいやでもまぁいいじゃないですか!カワイイし。


JA新ふくしま、クレマチス株も増殖中です。
しかも八重品種しか作りません!来年乞うご期待。


花弁が取れた後もかわいいですよね。
ここでちょこっとクレマチウンチクの時間です。
「クレマチスは無風だとなかなか絡まらないんだよ。風に当ててやらねぇと支柱に巻きつかないんだ。」
風に吹かれてあわてて支柱をつかまえるクレマチス。(実際の動きは当たり前ですが見えません)

JA新ふくしまを、消費者の求める花に素早くかつ柔軟に対応できる産地に育てたのは大室さん。
26年間花き担当でしたが、定年数年前にして今年とうとう異動に!
しかも異動先が直販課・・・って市場外流通じゃないですか!!Oh 〜!
カムバーック!大室さん!!
「カムバック無理だったら、定年後に独創性生かして花を作って
うちに出してください」とシシド隊長よりメッセージ。
JA新ふくしまの格言
・企業秘密で差別化を図る。
・野生動物との生存競争に勝った花だけが東京にやってきてます
お花屋さんへ一言・・・
おまけ
左の写真は山中を走る奥羽本線。
渡辺さんの圃場に行く道途中にある、絶好の撮影ポイントだそう。鉄道写真ファンがよく訪れる場所だそうです。
今回は撮れませんでしたが、トンネルから抜けてくる山形新幹線がみれますよ。

