大田花き 大田花きコーポレートサイトへ
 

2009年3月16日

Vol.71 埼玉県 高成園

いよいよ春到来!
地球温暖化の影響なのか今年は暖冬でしたが、 やはり朝晩は冷え込む日も多かった3月上旬。 ここ数日はいよいよ寒さも和らぎ、春がぐっと近付いて来たようです。

そんな3月のある日、ウンチク探検隊は埼玉県杉戸町にやって来ました。
本日、ご紹介するのはこの地に12代も続く農家であり、40年前からフリージアづくりを手がけてきたという高成園(こうせいえん)の高舘さんご一家です。

321.gif
埼玉県というと東京からアクセスするには、ちょっと骨が折れるイメージがあったのですが、実は市場(東京都大田区)から杉戸町まで車で1時間半もあれば到着!さすがは埼玉。ここのフリージアがいつも新鮮なのは短時間で市場に運ばれているからなんですね。


お急ぎの方はこちらから。
高成園の枝切りフリージア“ユーロスタイル”をご紹介しています。


高成園のこだわりに迫る!

高成園に到着!その前に・・・

さて、本日取材させていただくのは高成園で今もっとも旬の花「フリージア」の切花です。 日本国内では通常どこの産地でも“葉”付きで出荷されるのが当たり前なフリージアですが、高成園のフリージアは葉がついていない状態(“枝切り”と呼ばれる)で出荷されています。 聞くところによると、オランダなどヨーロッパの生産地ではフリージアは“枝切り”が一般的なんだそう。そこで、まずは日本のフリージアとオランダのフリージアを見比べてみよう。
フリージア1.jpg フリージア.jpg
↑日本のフリージアはこのように葉付きの状態で出荷されます。もともと生け花の花材としての需要が高く、生け花では葉が必要だったことから、花と葉がセットになったスタイルが定着したようです。

freesia.jpg
↑こちらがオランダのフリージア。葉をつけずに枝切りで出荷されています。葉が無くても、さまざまなグリーンを使って上手にアレンジしていますね。

この違いには、なにか大きなポイントが隠されていそうですが・・・そこは後ほどゆっくり、高舘さんに教えていただきましょう!
takadatesan.jpg
到着した私たちを出迎えてくださった、社長の高舘成行さんと4代目の雅実さん。
「今一番、良い状態で咲いてますよ。さっそく、ハウスを見てみますか?」
先を歩く雅実さんの後を追いかけて、私たちもハウスに向かいます。

フリージアの真の姿とは!?

ハウスに一歩足を踏み入れ、見たものは・・ 人の腰丈をゆうに超えるほど成長した、巨大なフリージアの群生。スパイシーで甘い香りがハウスの中にただよっています。フリージアって、こんなに大きくなるんですか? 「1メートル20センチくらいは余裕で育ちますよ。」と雅実さん。

DSC00117.jpg DSC00111.jpg 

丈が長ければ花も大きい!長い茎のてっぺんに咲く花は手のひらに乗るほどの大輪。花びらのしっとりキメ細かい質感と、厚みのある触りごこちがスーパーリッチです。このみずみずしさ、ずっと触っていたい・・・(でも、傷むからやめましょうね!)よーく見るとダイヤモンドリリーを思わせるプリズム加工で、太陽をキラキラ反射させてます。フリージアというよりも、ユリの花みたいですね。
「そう言ってもらえると(笑)」と笑顔を見せてくださる雅実さん。

DSC00063.jpg DSC00066.jpg
『グレース』                  『オレンジーナ』
DSC00078.jpg DSC00079.jpg
『ストライプドパール』            『ピンクフォンテン』

枝切りフリージアの秘密

「これが、今年からオリジナルで名前をつけて販売を始めた“ユーロスタイル”という、言わば“枝切り”のフリージアなんですよ。枝切りはオランダでは主流だけど、日本には無い。それなら、ウチでやってみようって。親父と一緒にやり始めたんです。」

高成園では葉を付けずに枝切りで出荷するスタイルのことを「ユーロスタイル」と呼ぶのですね。
でもどうして、葉付きではなくて、枝切りでなければいけないんですか?

「葉付きのフリージアは大量の球根に促成栽培をかけて草丈をおさえることで、お客様がフリージアを一番必要としている時期・・・年末から初春に量産出荷することを可能にした、ものすごい技術のたまものなんですよ。一方、枝切りは促成をかけずに季咲きでゆっくり成長させる。促成栽培よりも、広い面積を取って植えてやらなければならないし、育てる時間が長い分手間もかかる!そのかわり1個の球根からトータル3回花を切ることができるんです。」と雅実さん。

うーん、なるほど・・・!季咲きのフリージアが枝切りに出来る意味がよく分かりました。

DSC00102.jpg DSC00080.jpg

こんなに贅沢なフリージア見たことない!

「ユーロスタイルのフリージアというのは、つまり“季咲き”で花にストレスをかけずジックリ時間をかけて育てることによって、フリージアが本来持っているボリューム感、色、香りのパフォーマンスを最大限に引き出したものなんですよ。」
本当ですか!季咲きというだけで、これほどまでに・・・
「いやいや、もちろん栽培面ではさまざまな工夫が必要です。それと、ユーロスタイルの売りのひとつは八重咲き品種にこだわっているところなんですよ。」と雅実さん。
DSC00131.jpg DSC00134.jpg
見てください?!この見事なフリージア。『エクセレント』という品種です。時間をかけて育てられる、というメリットは八重咲き品種にこそ生かされるんですね。「フリージア本来の魅力は何か?をテーマに考えて、本当に価値のある花を追求してみたかったんです。」と雅実さん。ユーロスタイルはこの先、まだまだ進化し続けるに違いありません。

さて、このユーロスタイルですが、今シーズンは3月一杯まで全19品種のラインナップで順次出荷しています。フリージア定番の白、黄色はもちろんのこと、市場でも全体量の少ないピンク系や赤系も揃っているのがうれしい!ピンク系と青系の色乗りが抜群ですね。
「それも、季咲きで花芽をしっかり育てて切っているからなんですよ。ピンク系と青系の品種は特に、つぼみが若いうちに切るとね、咲いても上手く発色しないことがある。色ノリの良し悪しが顕著に出やすいんですよ。」と雅実さん。
咲く季節や切り前が、発色にも影響するとは・・・フリージアはデリケートな花なんですね。
「そう、フリージアは病気にとにかく弱い花なんです。比較的丈夫なのは、やっぱり原種に近い黄色系や白系。ピンク系や、めずらしい花色の品種は特に弱いんですよ。」
そうだったんですか・・・日本国内に流通する切花フリージアの半数以上が、白と黄色の花色しかないのには、そんな理由があったとは。難しい花にあえてチャレンジされているんですね。

「だって、お客さんにまだまだ魅力がいっぱいある楽しい花だってことを伝えたいじゃないですか。むしろ、自分たちが楽しみながらやってます。楽しいですよ(笑)」
と、いつもポジティブな雅実さん。

ユーロスタイル品種紹介

この時期、ちょうど圃場に咲いていたユーロスタイルのフリージアたちをご紹介。 ※画像をクリックすると拡大表示します。大画面で是非ご覧ください♪

イヴォンヌ.jpg アーケード.jpg グレース.jpg
『イヴォンヌ』           『アーケード』            『グレース』
フロリアーデ.jpg エクセレント.jpg ハネムーン.jpg
『フロリアーデ』          『エクセレント』           『ハネムーン』
ピンクフォンテン.jpg DSC00066.jpg プリシラ.jpg
『ピンクフォンテン』        『オレンジーナ』          『プリシラ』
ストラプドパール.jpg アンコナ.jpg
『ストライプドパール』       『アンコナ』

「初めての方には、“おまかせMIX”がおすすめですね。色々見て、気に入った品種を見つけていただけたら良いなと思いながら作ってます。お得感がつまっていますよ(笑)」と雅実さん。
よし今日はユーロを買ってみよう!と思ってくださった方のために、実は高成園ではユーロスタイルの“お試しパック”ならぬ「おまかせMIX」を出荷しています。まずは色々な品種を見ていただきたいという思いから、MIX箱には毎回ランダムで最大6品種ものユーロスタイルが入っているんだとか。毎回、色合わせやバリエーションを考えながら丁寧に作られたとっておきの一箱。
数量限定につき、お早めにどうぞ!

DSC00160.jpg
(左)おなじみの葉付きフリージア。(右)こちらがユーロスタイルの出荷規格。ユーロスタイルは1本から3本分の花が楽しめるのが最大の特徴!主枝から伸びた側枝2本もお客様のもとで咲くパワーがあるんです。
DSC00149.jpg DSC00157.jpg
こちらがユーロスタイル出荷時。見てください、このプリプリふっくらしたつぼみ!ちゃんと咲いてくれそう!という安心感がありますよね。事実、お客様の手元でもしっかり咲きます。

DSC00091.jpg
花芽をジックリ育てるから、花と花の節間がキュッとつまった美人なお顔立ちに。促成栽培などで、花芽を極端に成長させると節間が間伸びしやすいんだそう。

DSC00100.jpg
ん?良い香り♪香りの強さはピカイチ。フリージアは花芽を若切りしてしまうと香らなくなってしまいます。ユーロスタイルだからこそ、香りも生きてくるんですね。
DSC00070.jpg DSC00116.jpg
(写真左)1品種切ったらハサミは消毒。「ウィルスが一番こわいんですよ。」と雅実さん。
(写真右)フリージアの球根に出来た木子(「きご」と呼ばれる球根の赤ちゃん)。別ハウスではこうした球根を育てて、品種を長く維持していくための栽培を実践されています。サスティナブル!

DSC00107.jpg
旬の野菜や魚が美味しいように、花も本当は旬が一番キレイ。高成園のフリージアは“季咲きの花”を楽しむ意味を教えてくれているんだなぁ・・・。

7日間楽しめるフリージア!

高成園では、ユーロスタイルに「7Days Happy」と題して、20度以下の環境で7日間の日持ち保証をしています。これは安心、嬉しいですね。
DSC00156.jpg
「部屋の中でも、20度以下になる場所に置いていただくことが一番ポイントです。」と雅実さん。たとえば玄関、キッチンの窓辺、洗面所に飾ってみてはいかがでしょうか?(ちなみに当社実験では、7日間どころか10日間以上楽しめました!)

高成園では、エコファーマー認定を取得されていますね。やはり早いうちから環境を意識した花づくりを心掛けていらっしゃったんですか?
「特別なことを始めたわけじゃないんですよ。おじいちゃんや親父の代からずっと当たり前にやってきたことが、エコファーマー認定に当てはまっていたんだと思います。たとえば有機堆肥・・・杉戸町は昔から畜産もやっていて近所に牛屋さんがいるんですよ。そこから良い堆肥をいただいているお陰です(笑)」と雅実さん。肥料も地産地消なんですね。埼玉県杉戸町は、地元で作られたお米や野菜が学校給食に使われていたりと地産地消への意識が高いことでも有名なんだそう。

DSC00081.jpg
「ユーロスタイルの面積あたりの収量は、葉付きフリージアのおよそ1/5。だから増やしたくても限界があるんですよ。今後はユーロスタイルに賛同してくださる生産者さんを募って、少しずつ広げていきたいんです。」最終的にもっと多くのお客さんに使ってもらいたい、と雅実さんは熱く語ります。

始めた頃は苦戦されたことも多く、「もうやめようか」と何度も思ったのだそう。「でも家族みんなも頑張ってくれた。市場ではS担当、T担当君からいつも励まされました、本当にありがたかった。」そうおっしゃって下さる成行さんと雅実さん。お二人のフリージアに向かうまっすぐな姿勢に、ただただ頭が下がる思いです。
高成園の目指すところは、花屋さんで「フリージアを下さい」と言うお客さんをひとりでも多く増やすこと。いつかきっと叶うと思います!

DSC00163.jpg

高成園“ユーロスタイル”の格言

・フリージア最高のパフォーマンスと、確かなクオリティは世界一!
・主役、脇役の魅力を兼ね備え、ラインでもマスでも使える!
・勝負仕事はユーロスタイルフリージアを使うべし!

ユーロスタイルの出荷期は2月中旬?3月一杯まで。
季節は待ってくれませんので、皆様どうぞお見逃しなく!
お問合せは大田花き仕入第2(球根)チーム担当まで。
?03-3799-5000(代表)

お・ま・け

雅実さんのもうひとつの顔・・・それは?
ジョン・レノン最後のアルバム「ダブルファンタジー」のタイトルをひらめくきっかけになった、黄色いフリージア「ファンタジー」を追い求める・・・という何ともドラマチックなプロジェクトをご存知でしょうか?雅実さんもメンバーとして活動されているそうです。
『ジョンレノンと黄色いフリージア』HP↓
http://www.t01.com/2008/09/post_71.html

(文責 三浦彩)

Copyright(C) Ota Floriculture Auction Co.,Ltd.