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2007年8月22日
vol.44 長野県 しんせんむら
今回訪れたのは、蓼科のカーネーション産地です。
というと、別荘地!
蓼科山が連なる八ヶ岳連峰は本州の中央部を南北に走る大地溝帯にあたるため、湿った空気が流れ込むのが遮られ、湿度が低くイギリスに似た清涼で爽やかな気候風土が特徴!
梅雨の鬱陶しさもなく、夏でも平均気温が19℃程という、とても快適な気候に恵まれています。
信州ビーナスライン沿いに建てられた“文化塔”はそんな気候を表す証拠!
紀元2600年(西暦1940年)を記念して建てられた塔で、当時の新聞や雑誌、書籍等を納めている、今でいうタイムカプセルなのですが、乾燥した気候ゆえにコノ地が選ばれたというのです。
しんせんむらは5人グループですが、全員の圃場が標高1000m以上の場所に位置しています。
そんな人間にとって快適な環境は、花にとっても不快なはずがありません!!
「天然記念物の松の木が目印だよ!」と言われ、今年開通したばかりのエコーラインをひた走ると、発見!
立派な松がありました。
この松は田んぼを守る防風林だとか。
そして到着!
あいにくの曇り空ですが早速レポートです。
あるアンケート調査によると、カーネーションの購入時に一番こだわるポイントは、色・品種という結果
が出ています。
しんせんむらの花色、花持ちバツグンの出荷品種は、幅広い用途に使えるベーシックなものを取り揃えています。
エリス ガンジーイエロー ロイヤルグリーン
ウエストダイヤモンド スカーレットクィーンスーパー
こちらは花がまだ咲いていませんが、『チーク』という品種です。
まるでダンスを踊っているように見えませんか?
これは、このように茎が暴れやすい性質のようです。
品種ごとに異なる性質は、色・形・香りだけではないんですね。
訪問した時は ちょうど切終わりで、ハウスには蕾ばかり…。
でも、栽花最盛期には綺麗に咲きそろったカラフルな長方体が見られるとか。
「まるで花の羊羹のように綺麗なのよ!」と教えてください
ました。一足遅く、残念…。
でも、花の長さがピシっと揃っています!
出来上がったばかりのハッピに身を包んだ しんせんむら 島立村長にお話を伺いました。
『私たちの栽培ポイントは、土壌消毒をしない、完全有機栽培ということです。
悪い菌はいくら消毒しても土に残るから、増やさないで、他の菌とのバランスを取っていればよいんです。
そうすることで、植物の根が必要なもの選んだり、時には自らの分泌物と有機で求めるものを作り出して吸い上げてくれるのです。
化学肥料だと必要でないものも全部吸収してしまうから、摂取しすぎてしまうんですよ。』
有機栽培に変えて6?7年経つしんせんむら。やはり最初は半信半疑だったようです。
でも、ピシッと揃って芽が上がってきたり、病気になりにくかったり、葉が厚く、ワックスがのった健康状態を見て、その良さを確信されたようです。
今回のキーワード その1: ワックスがのる
カーネーション特有の表現で、ワックスを塗ったように茎や葉が白くなっていること。
これは自らが分泌するもので、害虫や病害に対する抵抗力をつけている証拠。
言ってみれば、健康のバロメーターです。
!有機栽培で健康状態良好のカーネーションは、普通ならボリューム落ちる2番花も1番花と変わらない太さとボリューム、そして 花持ちの良さに表れます!
2度切りもしていますが、9月に1番花だけを切る秋物もあります。
2回切だと12月に定植することになるので、冬の寒さ越えが大変なのです!
高冷地の強みを活かした秋商品は、同じ品種でも太さ、ボリューム感が違います。
さらに、花だけでなく足元からも健康さをうかがい知ることができます。
下葉が枯れるのは株に元気がない証拠。
ところが、全く枯れていません!
つまり栄養を吸い上げる根っこが元気な証です。
では、そんな元気なカーネーションを作る秘密に迫ってみましょう!
高品質の秘訣?
土が一番です。
土作りは福島で行われ、仲間で共有する堆肥場で熟成させるということなので、案内してもらいました。
堆肥と聞いて悪臭を想像していましたが、意外なことに醤油工場のような甘い香りがします。
これは分解発酵菌で発酵完熟させることによって発生した“放線菌”によるものだとか。
そして、こんなにフカフカ!
桐生隊員の腕がずぼずぼと埋まっていきます。
「あんまり行くと埋まって出れなくなるよ!」なんて脅され、おっかなびっくり歩いた足跡もこんな風に残ります。
福島から送られた土に発酵菌と信州特産の蕎麦がら、そして 卵の殻を混ぜて、さらに1年熟成させると、有機発酵堆肥の出来上がり!
これが、苗の健康維持に大切な要素となります。
高品質の秘密?
魔法の赤い水!
光合成細菌を使った秘法の赤い水を灌水に混ぜて与えています。
赤い水に含まれたアミノ酸など多数の物質が、植物の生育を促進させるのでそうです。
この水と酵素を灌水すれば、豊富なミネラルを吸収して立派なカーネーションが育つのです!
高品質の秘密?
人の手による毎日のお手入れ
やっぱり日々 人の目による健康診断と愛情が注がれることによって元気なカーネーションができるのです。
ここで使用されていたアイテムがこちら!
コロコロ車もプラスチック性で軽く、且つ、車輪の幅が太くて安定感があるものに進化しているようです。
こうした栽培方法により、カーネーション産地としては日本で始めてエコファーマーを取得されました!
今回のキーワード その2: エコファーマー
「持続性の高い農業生産方式の導入促進に関する法律」に基づいて、持続性の高い農業生産方式を導入するための「導入計画」について、県知事が認定した農業者(個人または法人)のこと。
つまり、環境に配慮して、地球に優しい生産方法を計画的に取り入れている生産者のことです。
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恵まれた自然の中で、秘伝の土や水によって高品質な花作りを実現したは、神仙村!?
どこか神秘的な香りがする村でした。
お花屋さんへのメッセージ
しんせんむらのカーネーションは、花が大きく、発色、花つきもいいです!
また、1回水上げしたら、切り戻し回数が少なくとも日持ちします!
ぜひお試しください。
“しんせんむら”の格言
寒暖の差があり、乾燥した空気で別荘地としても人気の蓼科は、カーネーションにも
最適!
高品質なカーネーションの秘密は、土、水、そして人、それぞれの高いコダワリに
よるもの!
地中の微生物のえさは良質の有機堆肥!
だから、良質でないとお腹こわすんです!