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2007年9月19日
vol.45 福岡県 JAたがわ&JAみい
福岡県第4弾!
各地でたくさんの農産物が作られている福岡ですが、今回 始めに訪れたのは田川市です。
以前、炭鉱の町として発展し、言わば 日本の近代産業の原動力となっていた地域!
そんな田川が中心となり、今 県を挙げて最先端農業に取り組んでいました。
?21世紀を勝ち抜く攻めの農業を目指して?
<JAたがわ種苗センター>まずは、今年4月より稼動し始めた大規模育苗センターを訪れました。
なんと、自然に囲まれた広大な敷地 46,600?にも及びます。
そこで行われている育苗システムとは…
播種 冷蔵
発芽
冷蔵庫で管理したのと、そうでないものでは、20日程生育に差が出るのだそうです。
今は春に市場へ出荷する用の苗作り真っ最中!
しかし、苗作りの段階でもスリップス、コバエなどの天敵に狙われてます!
そうして、根も張ってきたばかりの赤ちゃん苗が、栽培農家へ里子に出されるのです。
そんな“JAたがわ育苗センター”の強みは?
高品質な苗の安定供給によって地域ブランドが育成できる!
農協で数量を把握できるため、戦略的な販売ができる!
という二大メリットがあるのです!
そんなシステマティックな大規模施設ですが、廻りを見渡すと…
施設脇には山並みが望め、本当に自然の中にあるのだと実感!!
でも良?く見ると、平らになっている山が!
香春(かわら)岳と呼ばれています。
昔は田川で一番高い山だったとか。しかし、セメントにするため削って石灰を採取しているうちにこのような姿になってしまったようです(>_<)。
さてさて、ここからは生産現場の様子をお伝えします!
?アスターの周年・安定供給を目指して!?
<JAたがわ・(有)グロウテック>
種苗センターに程近い高台で、周年アスター栽培を目的として新しく建てられた生産団地です。
早速、栽培の秘訣に迫ってみましょう。
広大な敷地で周年出荷を実現!
ひと屋根ごとに1週間ずつ生育ステージをずらし、2連続きのハウス×6棟のローテーションによって、全国的にも少ない周年出荷を実現しています。
⇒⇒
(播種?生育段階)
土は使いません!
アスターは連作障害が発生しやすい植物で、連作が困難と言われています。
そこで、連作障害の恐れがなく、安定出荷できるアクアフォーム溶液栽培を行っています。
アクアフォームとは、吸水性スポンジを砕いたようなものなので、空気の通りや水通りがよいだけでなく、土と違って無機質なので、必要な肥料だけ与えれれば土作りをする必要がありません。
さらに、養分もタイマーで時間を決め、適量が自動的に行き渡るようにシステム化されています。
ハウス内は土足厳禁!
連作障害を防ぐには、雑菌を入れないのが一番!
そこで、ハウス内には靴を履き替えて、さらに消毒をしてから入るほど徹底的な管理がされていました。
こちらのハウスはなんだかスッキリして見えませんか?→→→
「溶液を与えると湿度が高くなるので、下葉は傷みやすいんです。
繁茂すると病気も入りやすいので、風通しを良くするため先に取っているんですよ。」
と代表の佐野さんが教えてくださいました。
なるほど、これなら栽花も簡単そう!
まだ、稼動し始めて2年目で、溶液自動管理システムもデータを取っている段階。
「今後 3年、5年と経つにつれ、より品質も向上していくよ。」と佐野さん。
順調にいけば、1年に何本切れる、とまで管理できる工場生産のようになるかもしれません!
今後の目標は、「規格を落とさないように2Lの長さは確保しつつ、いかにハウスを効率よく回転させていくかです!」と意気込んでいらっしゃいました。
佐野さんからお花屋さんへのメッセージ
周年で出荷するので、他のスポット産地と違っていつでも対応できます!
***出荷品種***
?山育ちの丈夫なトルコキキョウ!?
<JAたがわ・高瀬花園>
早速、ハウスへ案内していただいたのですが…
「ここで、軽トラックに乗り換えて!」と向かった道は、まるで獣道!!
左の写真は、娘さんの舞ちゃん、美紅(みく)ちゃん。
大きな岩もゴロゴロある急な坂道を登って、ようやく到着したハウスでは色とりどりのトルコキキョウが出迎えてくれました。
こちらのハウスでは育種もされており、珍しい品種いっぱいの状況に興味津々!
↓まるで白い薔薇のような花型や、↓変わった色合いの品種↓
赤系品種もこんなに沢山!絞りや八重咲き品種など気品を感じさせる花にうっとりします!
さらに、八重の花は 触るとカサカサと音を立てるぐらい花弁が固い!
これは、標高600mという栽培環境のなせる業のようです。
素晴らしい環境ですが、当然ココは夏だけの1作栽培。
雪が降ったら登って凝れませんから…。暖房や電照が必要な品種はご自宅近くのハウスで栽培しています。
でも、栽培できないコノ冬場にイイ商品を生み出す秘密があったのです。
雪が土の悪い成分を全部洗い流してくれる!
山に住む鹿のフンが肥料になって天然で、且つ適度な養分が土に加えられる!
そうして、翌年もまたいい環境で栽培ができ、新しい品種が生まれるのです。
出荷品種の特徴は?
マイシリーズ:小輪で輪付きが多いもの
ミクシリーズ:大輪八重+フリル咲き
もうお分かりですか?
高瀬さんによって生み出されたオリジナル品種のシリーズ名は、娘さんの名前だったのですね。
←高瀬さん手作りのPOPです!
画像をクリックすると、大きくなります。
地元農協の営業担当を経て、30歳で脱サラして花卉専業農家へ転身。
標高300?600mの冷涼な気候を活かして作型を工夫され、一般市販品種とオリジナル品種のリレー出荷を手掛ける高瀬さん。
今後はさらに育種に力を入れて、オリジナル性の高い商品を提供していきたい!と意気込んでいらっしゃいました。
>高瀬さんからお花屋さんへのメッセージ
高冷地の栽培環境を生かして作った品質の良い花をご利用ください!
ブライダル需要にはもちろんですが、花弁が厚く花持ちがいいので、いつ必要になるか分からない葬儀用としてもオススメします!
?どこにも負けない!存在感ある大輪ガーベラ?
<JAみい・ガーベラ部会 4名>
続いて、久留米市に移動しました。
見通しのいい、広大な田んぼの中に目指すガーベラのハウスはありました。
カラフルな花が顔を覗かせます。
ウチの『ソープ』は違うよ!咲かせてから切ってるから花持ちがいい!
それに40本入りの箱だけど、20本しか入らないほど花が大きいんだよ!」
と教えてくれたのは、圃場主の牛島さん。
約13cmの花は、確かな存在感をアピールする驚きの大きさ!!
そして、白の大輪“インスピレーション”。
この品種は、特に花弁が折れて傷つきやすいので、こんな風に栽花してすぐ圃場でキャップを付けるのだそうです。↓↓↓
「花びら自体がパンっと張ってるでしょ!圃場で咲かせないと水揚げが悪く、色のりも異なってくるんだよ。ほらっ!!」実演してくださる牛島さん。
さらに、冷蔵庫には除湿機を、撰花場には冷房を入れて品傷みを防ぐ徹底ぶり。
「10℃違うと花は汗をかくので気を使うんですよ!」
JAみいでは、一昨年から大輪品種を導入し始め、今では出荷品種の8割を占める主力品種となりました。
「まだ、今咲いている花は本来の姿じゃないよ!気温が下がってくると花弁数も増えて、もっと大きくなるから!」と大輪品種の色目も揃ってきた今年、さらに素晴らしい出来を予感させる力強いお言葉をいただきました。
>JAみい ガーベラ部会からお花屋さんへのメッセージ
大輪ガーベラと小輪ガーベラは、同じ品目でも競合するものではなく、別物として位置付け、ガーベラの新たな魅力を伝えていきたいと思っています。
1品種800株を最低ラインとして栽培していますので、変わった品種の大量注文にもお応えできます。
お花屋さんのご意見もどんどん聞かせてください。
“JAたがわ&JAみい”の格言
最先端技術を備えた大規模施設育苗センターによって作られる良質苗の安定供給が、田川ブランドを育てる!
システマティックな工場生産が可能にしたアスターの周年供給で、用途拡大を図る!
山育ち! だけど都会的なオリジナルトルコキキョウ!今後、作出される品種にも期待大!
従来のガーベラと大輪ガーベラは、同じガーベラでも別物と認識すべし!